【医師監修】ヒト幹細胞とは?

ヒト幹細胞美容液

再生医療など様々な分野で注目されている「ヒト幹細胞」について、また、ヒト幹細胞コスメを選ぶ際に知っておきたいこと・気をつけたいこととはなにか?

日本抗加齢医学会認定の専門医でもある美容皮膚科医の西林 涼子 先生に、お話を伺いました。

幹細胞とは? 

「幹細胞」とは、今も研究分野の1つで未解明な部分もありますが、2つの能力を持った細胞と言われています。1つは自己複製能と言って同じ能力を持つ細胞に分裂することができる能力と、分化能と言って自分の体を構成するさまざまな細胞を作り出す能力があります。

こうした様々な細胞の元となる幹細胞から分泌される活性物質は”肌の角層へのアプローチ”が期待されています。以前はこうした幹細胞由来の成分に純度や安定性、また人に塗って大丈夫か?といった安全性の問題がありましたが、現在は安全性の問題がクリアされ、ヒト幹細胞コスメなど、「幹細胞」という言葉は美容業界でもよく聞くようになりましたよね。
 

幹細胞の種類とは?

幹細胞には大きくヒト由来・植物由来・動物由来の3種類があります。動物由来の幹細胞は、アレルギー発現の問題など、様々なクリアすべき課題があり、なかなか普及に至っていません。ヒト由来の幹細胞コスメは、主として人の脂肪細胞から採取された幹細胞が使われています。ヒトが元々持っている成長因子や活性物質が含まれているため、ヒトの肌への馴染みが最も良いとされ、アレルギーも少なく安全性が高いと言われています。

一方で植物由来の幹細胞はヒト由来の幹細胞に比べると安価ではありますが、効果は劣ると言われます。こちらは、鍵と鍵穴の関係に例えられます。ヒトの肌細胞が持つレセプター(鍵穴)に活性化成分(鍵)が入ることで肌細胞は活性化するのですが、植物由来の幹細胞コスメは、あくまで植物が原料であるため、ヒトが持つ鍵穴とぴったり合致はしません。そのため、植物由来の幹細胞コスメはヒト由来の幹細胞コスメに比べると効果が弱まると考えられます。更に、植物由来のものは敏感肌の方が使うとアレルギーを起こす可能性もありますので、使用前にパッチテストが必須です。

幹細胞コスメとは?

幹細胞コスメは幹細胞そのものを入れているわけではなく、幹細胞を培養した上澄み液を入れているものを幹細胞コスメと呼びます。上澄み液には成長因子など100種類以上の活性物質や、サイトカインといった細胞の活性を促す成分が入っています。生まれたばかりの赤ちゃんの時はみんなお肌がプルプルしていますが、年齢とともに細胞の機能は徐々に衰えていき、ハリが失われてしまいます。

ヒト幹細胞コスメは、肌が本来持っている元気さを取り戻し、赤ちゃんのようなツルンとした肌に戻す可能性が期待されています。

幹細胞コスメに期待されるスキンケア効果とは?

肌細胞は通常1ヶ月に1回入れ替わると言われていますが、年齢を重ねていくにつれて3ヶ月に1回とターンオーバーの回数は減っていってしまいます。さらに、若い方でもストレスや睡眠不足といった体に負担をかけた状態が続くことで、ターンオーバーの回数は減少すると言われています。ストレスや睡眠不足によって肌がごわついてしまうのはこのためです。

幹細胞コスメは肌のターンオーバーのスピードを回復することで、シミの原因となるメラニンを出しやすくしたり、お肌のごわつきを改善し、肌荒れを防ぎます。他にも、お肌に弾力感を持たせる効果があると言われています。幹細胞美容液には、サイトカイン、グロースファクターと言われる成長因子といった美肌作りをサポートする成分が豊富に入っています。

お肌は表皮と真皮の二層構造でできていますが、幹細胞コスメは奥にある真皮細胞を刺激し、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンといった肌の弾力を作りだす成分の分泌を促す効果があると言われています。お肌のピンと弾くような弾力感も期待できるでしょう。

幹細胞コスメは基本的に万能で、赤ちゃん肌に必要な栄養成分がたっぷり含まれています。さらにヒト由来の幹細胞コスメであれば、ヒトの幹細胞からとる上澄液なので、成分そのものはヒト本来のもので、アレルギーや副作用はほとんど起こりにくいと考えられます。後述する通り選び方に注意さえすれば、安全に使うことができるコスメと言えるでしょう。

ヒト臍帯由来幹細胞培養液の優れているところ

ヒト臍帯(さいたい)は、お母さんと赤ちゃんを繋ぐ唯一の栄養の管(へその緒)です。赤ちゃんを育てるために必要な栄養が入っているところなので、栄養素も一番豊富ですし、成長因子も濃密に含まれています。胎盤由来のプラセンタ製品も売られていますが、赤ちゃんにまつわる成分は栄養豊富でエイジングケアに効果があると考えられますね。

臍帯から採取した幹細胞培養液は、とても稀少な上澄み液です。現在、国内で流通しているヒト幹細胞は主に脂肪由来のものがほとんどです。脂肪由来のものに比べると臍帯由来の再生因子の濃度は数百倍にもなります。

従来の幹細胞より分化能も高く、再生医療や美容の分野でも着目されています。ヒトから採取した臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪などから抽出した幹細胞を培養し、得られる上澄液を配合した化粧品の総称が「ヒト幹細胞コスメ」です。そのなかでも、臍の緒に含まれる希少性の高い臍帯から得る「ヒト臍帯由来幹細胞」はすべての細胞の起源なので、より分化能が高く、成長因子の数が多いと言われているようです。また、国内で流通している臍帯由来の幹細胞培養液は日本製がほとんどです。

一方で、名前は似ていますが「臍帯血由来」は「臍帯由来」とは異なります。

臍帯血由来は臍帯そのものではなく、臍帯血から抽出した幹細胞を培養した上澄液です。現在、国内で流通している臍帯血由来の多くは海外製(外国人ドナー)が主流です。

幹細胞コスメ選びで気をつけたいこと

幹細胞が何由来のものかを確認する

幹細胞コスメはまずはヒト由来か植物由来か?で大きく分けられます。ヒト細胞由来の幹細胞コスメの方が肌馴染みもよく、より高い効果が期待されますが値段が高額になります。まず手軽に試してみたいと言う方であれば、植物由来の幹細胞や、原液ではない培養液エキスなど配合したコスメは安価で購入しやすいでしょう。

幹細胞そのものが入っていると表記されたコスメに注意

幹細胞コスメの中で、幹細胞そのものは入っていないのに、入っていると表記がある幹細胞コスメは要注意です。

幹細胞コスメに配合されているのは幹細胞の培養液もしくは培養液エキスです。「幹細胞が含まれている」と聞くと効果がありそうに感じますが、本来化粧品に幹細胞そのものは入れてはいけないと決められています。そのような表記があるコスメには十分注意しましょう。

幹細胞コスメに含まれた培養液成分の濃度を確認し、出来るだけ原液を使う

次に濃度の問題があります。幹細胞コスメは、配合する培養液成分の量が少なければ安価になっていきますが、期待できる効果も薄くなってしまいます。

培養液と培養液エキスの違い

培養液原液と培養液エキスと言う表記でも、成分濃度は異なるため注意が必要です。どちらも「幹細胞コスメ」と呼ばれるものですが、培養液は幹細胞を培養した後に採取する上澄み液の原液です。一方で培養液エキスとは、その上澄み液の原液を水やアルコールなどで希釈(薄める)されたものから抽出したものです。

「培養液エキス100%」配合されているからといって濃度が高いとは限りません。もともと万能な幹細胞培培養液の効果を高く発揮するためにも、可能であれば純度100%の原液幹細胞コスメを使用されるとモチモチ肌をより実感できると思います。

◎幹細胞コスメと悩み専用のコスメは併用がおすすめ

幹細胞コスメでもっと肌にハリやつや感を出したい場合は、美容成分が幹細胞コスメに全て含まれているオールインな幹細胞コスメを使うよりも、幹細胞コスメを単体として使い、それにプラスして悩み専用のコスメを併用する方が効果的です。

例えば、毛穴を小さくしたい場合はお肌に弾力を取り戻してくれたり、メラニン色素の生成を抑える効果が期待されるビタミンCの美容液を足してみる。目元のしわを消したい場合は、肌の修復にアプローチし、ハリを取り戻してくれるペプチドなどの成分が含まれた目元専用美容液を足すとよいでしょう。

◎使用前にアレルギーパッチテストを行う

幹細胞コスメ全般に言えることですが、まずは使用前に肌馴染みに問題がないか、少量のサンプルで試してみたり、パッチテストを行うなど注意して使用するようにしてください。例え安全なヒト幹細胞由来のコスメを使っていても、中に含まれた添加物等が原因でお肌に合わない場合もあります。万が一、幹細胞コスメを使ったことでお肌の赤みやかゆみ、刺激、黒ずみなど何らかの異常が発生した場合は、すぐに使用を中断して皮膚科医に相談してください。

肌を整え、健やかな赤ちゃん肌を目指したい方は、良質な幹細胞コスメを上手に日々のスキンケアにぜひ取り入れてみてくださいね。

《ブランド概要》
スキンケアブランド『 WELL8』では、さまざまな肌悩みを抱えている方など、より多くの方々に毎日ご使用いただけるよう、不要なものは一切入れず肌に優しい成分配合、「高品質」な国産原料にこだわった製品づくりに努めています。明るく生き生きとした印象の肌へ導く、揺らがない健康な素肌づくりのための次世代スキンケアをご提案します。
 
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